くさび式足場の特徴とデメリット

Last Updated on 2024年4月23日 by centre

くさび式足場は様々な高所工事を行う際に最も多く用いられている足場の方式です。
くさび形の連結部分を持つことで狭い範囲で効率的に足場を作ることが可能となる上、建物の形状に合わせて増設をすることも簡単に可能であることから、様々な場面で広く用いられています。

 

くさび式足場の最も大きな特徴とは

当初は連結部分の強度が通常の足場に比べ弱いと言う問題があったことから比較的低い建物に用いられることが多かったのですが、最近ではその安定性を高めるための技術が確立され、比較的高層の建物にも用いられるようになりました。

くさび式足場の最も大きな特徴は設置面積が狭くて済むと言う点にあります。
一般的に足場を設置する場合にはその安定性を高めるための土台の設置が重要となり、そのために広いスペースを必要とすることが少なくありませんでした。

これは敷地面積の広い建物であればしっかりと固定をすることができるのですが、一般の住宅などの場合には敷地面積が狭いと言うことも多く、確実に土台を設置することができない場合が多かったのです。
そのため塗装工事等の際には足場を利用せずに行うことも多く、転落の危険を伴うことも少なくありませんでした。
これに対応するため、足場の本体同士をくさび形の連結器で固定することにより相互にささやい安定性を保つことができるこの方式が開発され、現在では主流となっています。

 

くさび式足場の構造

くさび式足場の構造には大きく分けて2つの方法があります。
1つはブリッジ型緊結方式で、コの字の形になった緊結部を支柱に取り付けられた金具にはめ込み、この部分にくさびをハンマーで打ち込むと言う方法です。

金具を使って取り付けるため位置を自由に決めることができるメリットがあり、状況に合わせてその高さを調節することができると言うのが特徴となっています。

もう一つはポケット型緊結方式と呼ばれるもので、支柱にあらかじめくさび金具が溶接されており、この部分に金具をハンマーで打ち込む方式となっているため、溶接された金具の位置により高さ等が決められてしまうデメリットがありますが、簡単にハンマー1本で設置することができると言うメリットがあります。
それぞれ建物の環境や納期の状況に合わせて使い分けることが一般的です。

 

平成15年に設置に関する安全基準が設定

ただし従来の足場に比べて簡単に説明できるメリットがある反面、その説明の方法によっては倒壊やその他の危険が伴うことも少なくありません。
実際に近年では様々な天候や環境の影響により倒壊すると言う事故も発生していることから、平成15年に設置に関する安全基準が設定され、これを遵守することが求められるようになっています。

この技術基準は一般の住宅の工事などに用いる場合と、ビル工事等に用いる場合とではそのレベルが異なっているため、必要に応じて適切に対応することが必要となります。

さらに平成15年には手すり先行工法に関するガイドラインも厚生労働省から設定されているのが特徴です。
くさび式足場の多くは作業者が安全に作業するために必要な手すりの設置が曖昧であることも少なくありませんでした。

これが転落事故の発生にもつながるとして厚生労働省では安全に作業を行うための手すりの設置を義務づけており、その設置の方法に関していくつかの手法をガイドラインに設定しています。
そのため、この技術基準に則って安全に作業することができる環境を整えることが推奨されており、多くの現場ではこれが実践されているのが実態です。

 

KRHなど設置工事を行う作業者の存在

最近ではくさび式足場もその基本的な構造は継承しながらも様々な点で改善が進められており、より高い建物に対応できるように安全性を高めたものや、短納期に対応できるような設置が簡単なものも登場しています。

材料のひとつひとつにまで高い強度を求めることで部品点数を減らし、設置期間を短縮できるものも登場していますが、この場合には一つ一つの設置作業が非常に重要なポイントとなるために注意をしなければなりません。

そのためくさび式足場の場合に最も問題となるのがKRHなどの設置工事を行う作業者の存在です。
設置工事を行う際には、従来はこのタイプの足場はハンマー1本で簡単に組み立てることができるというのが最も大きなポイントとなっていました。

しかし、様々な場面に対応することができるようになったことで、求められる安全基準が非常にレベルの高いものと変化し、そのために一つ一つの組み立て工程における安全性の確保が非常に重要なポイントとなっています。
現在ではこの安全性を確保するための技術を持っている人でないと設営することができない場合が多く、特に公共工事では設営に関する経験や知識を持っていることが落札の条件となることも少なくありません。

 

まとめ

そのため近年では簡単に組み立てることができる点がデメリットとなる面もあり、場合によっては最適な方法とならない場合も多くなっています。
状況に応じて最適なものを使い分けると言う風潮が強まっているのが実態です。